第12章 ※盛夏・残更の法悦※
「・・んっ、あぁっ・・・」
前後左右、緩急をつけて揺らめかせば、胎内のものも、みしりと固さを増した。
「・・・巌勝様。気持ちいいですか・・・?」
恍惚とした表情を浮かべながら、艶かしい声音で囁いた。
「ああ・・・、それに堪らぬ眺めだ・・・」
何かを堪えるような深い吐息をつくと、黒死牟はキリカの乳房に手を伸ばした。ふるふると揺れる膨らみの頂きを指先で弄んだ。
「ぁんっ・・・」
キリカが、びくんと背を反らした。
「固いな・・・。お前は・・・、私を受け入れながら・・・、此処を弄られるのが好きなようだな・・・」
「ぃやっ・・・、言わないでくださいっ」
「違うと申すのか・・・」
「ちがっ・・・、んぁっ、はぁっ・・・」
「違う」と言いたかった。ちらりと抗議の視線を向ければ、妖しい光を帯びた六つ眼にぶつかる。
暗闇にあって炯々と輝く深紅と黄金の瞳が、射るようにキリカを見据えている。
(何て、きれいなの・・・)
人が持ち得ぬ美しさに、キリカは息を呑んだ。目が反らせない。抗議しかけた事など彼方へと消え去っていた。
「どうした・・・、キリカ・・・、腰が・・・、お留守のようだが・・・」
惚けたように見つめるキリカの意識を現に戻したのは、黒死牟の情欲に濡れた囁きだった。
「キリカ・・・」
右手をキリカの細腰に置くと、唇の端を歪めた。
「お前は・・・、先ほど・・・、私に嘘をついたな・・・」
「いっ、いいえ・・・」
「そのような悪い娘には・・・、お仕置きが必要だな・・・」
「んっ!・・ぁあんっ・・・、はぁっ・・・」
前触れなく与えられた重い突き上げに、キリカが甲高い嬌声を上げた。
「あぁんっ、そこはっ・・・だめぇっ・・」
「駄目ではなかろう・・・、お前の泣き所だ・・・」
「はぁっ・・・、んっ・・・」
幾度も幾度も、最奥の泣き所を抉るように突かれた。キリカも黒死牟の動きに合わせて、腰を揺らめかせる。
息のあった動きが、二人を情欲の坩堝の底へと誘う。
「凄い・・・、締め付けだな・・・、私を離さぬつもりか・・・」