第12章 ※盛夏・残更の法悦※
両腕を黒死牟の背に回す。更なる快楽をねだるように、力一杯しがみつく。
「巌勝様っ、もっと・・・」
「さっきまで嫌がっていたと言うのに・・・、淫らな娘だ・・・」
意地の悪い囁き。頂きから唇を離した黒死牟がキリカの顔を見つめた。まっすぐにキリカの双眸を捉えながらも腰の律動を止めない。
「い、嫌がってなど・・・、んぁっ・・・」
胎内を緩やかに責められ、喘ぎながらキリカは黒死牟の顔を見返した。濡れた惣闇色の双眸が語る。
貴方が欲しい、と。
「よかろう・・・」
不敵な笑みを浮かべると、キリカの腰を抱え直した。深くまで沈めたものを引き抜くと、再び最奥まで捩じ込んだ。腰を押し付け、総身を味わわせるように、ゆっくりとキリカの胎内を埋め尽くしていく。
「ひぁっ、あっ・・・」
「どうだ・・・、キリカ・・・」
奥深くまで穿たれ、キリカはぞくぞくとするような快感に総身を震わせた。
「巌勝様っ・・・」
胎内が妖しくざわめく。蕩けた花弁が黒死牟に柔らかく絡み付いた。与えられる快楽にキリカは腰を揺らめかせた。
「キリカ・・・」
名前を呼び、口付けた。ゆったりと舌を絡め合わせ、濃厚な口付けを交わす。
「さて・・・」
名残惜しげに唇を離した黒死牟がキリカの身体を引き寄せるように抱き起こした。自身は褥に仰向けに倒れ込み、キリカの腰に手を回す。
「巌勝様っ・・・」
「更なる快楽が欲しければ・・・」
ゆっくりと下から突き上げた。キリカを焦らすように花弁の浅瀬を擦り上げる。
「自分で・・・、動いてみよ・・、」
「そんなっ・・・」
「嫌ではないのであろう・・・」
「・・・っ」
キリカは喉を鳴らした。身も心も焦がすような快楽の炎が全てを支配する。夜毎、淫蕩な悦びを覚え込まされ続けた、その身体は欲望に抗えなかった。
「巌勝様・・・」
鍛え抜かれた胴の上に両手を置いた。花弁を押し付けるようにして、ゆっくりと動き始める。