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月神の恋人 【鬼滅の刃 黒死牟 R18】

第14章 月の揺り籠


「巌勝様、これは・・・?」

「薬湯だ・・・」

椀に並々と注がれた緑色の液体は見るからに苦そうだ。鼻腔を刺激する匂いに、キリカは顔をしかめた。

口元に椀を運ぶも、あまりの匂いに飲むのを躊躇ってしまう。救いを求めるように黒死牟を見つめたが。

「飲まねば治らぬぞ・・・」

「は、はいっ・・・」

静かだが圧を感じさせる口調で諭され、肩をすぼめた。

(苦そう・・・。けど、せっかく巌勝様が用意してくださったのだから飲まないと・・・)

意を決したキリカが一息に飲み干した。どろりとした苦い液体が喉を滑り落ちていく。

(うぅ・・・、に、苦いっ・・・)

噎せてしまいそうになるのを懸命に堪えた。口直しに何か欲しいぐらいだ。

「あ、ありがとうございました・・・」

「よし・・・、よく飲めたな・・・」

空になった器を受け取った黒死牟はキリカの頭を優しく撫でた。

「顔色も随分と良くなってきたが・・・、くれぐれも無理をせぬよう・・・」

祭りから帰って来た翌日。雨に濡れたせいか、キリカは風邪を引いてしまったのだ。全身がだるく臥せていたが、黒死牟の献身的な看病によって徐々に回復しつつあった。

「はい。・・・あの、ご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ありません・・・」

「何を謝る・・・」

「つきっきりで看病してくださって大変ではありませんか・・・?」

「そのような事はない・・・。気にせず・・・、ゆっくり養生しろ・・・」

「ありがとうございます・・・」

再び、褥に横たわろうとしたキリカの背を黒死牟の手が支えた。

「・・・、それに・・・」

「巌勝様・・・?」

呟きは重く、沈んでいた。何事だろうか。訝しげに眼差しを向けた先には、張りつめた面の黒死牟がいた。






















































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