第13章 ※宵の宮・雨月夜の契り※
「あのっ・・・」
「どちらが良いのだ・・・」
「・・・っ、両方ですっ・・・。・・・もっと触ってくださいっ・・・」
言葉に詰まりながらもキリカは懇願した。
「よく言った・・・、存分に・・・、可愛がってやろう・・・」
含み笑いを浮かべた黒死牟がキリカの顎に手を掛ける。視線が重なりあい、キリカは思わず息を呑んだ。
黒死牟の美しい容貌。色気を帯びた眼差し。すべてがキリカの心を惑わせる。身も心もからめとられてしまう。
愛おしくて堪らない。
「・・・・」
込み上げてくる想いに突き動かされるようにキリカは黒死牟に唇を重ねた。
「巌勝様っ・・・」
唇を離したキリカは黒死牟の首に腕を回した。再び、口付ける。
「キリカ・・・」
激しい口付けと共に、しがみついてきた身体を受け止めた。微かな苦笑を浮かべると、キリカを褥に横たえていく。
「そう焦らずともよい・・・、時間はたくさんあるのだからな・・・」
あれから雨足は強くなる一方だった。まだまだ外に出れそうにない。
愛おしげに見つめながら、黒死牟はキリカの唇を撫でた。唇は何も塗らなくても瑞々しく柔らかい。軽く口付けると、顎へと唇を這わせた。
「あっ・・・」
首筋に辿りつくと、黒死牟は牙を食い込ませた。「お前は私のものだ」と言わんばかりに赤い痕を刻む。
「んっ・・・、ふぅっ・・・」
首の付け根や肩、鎖骨にも赤い痕を刻み付けながら、胸の膨らみに触れた。頂きにある蕾を指先で捉えると、キリカは吐息混じりの嬌声を漏らした。