第13章 ※宵の宮・雨月夜の契り※
足の付け根、淡い茂み、あらゆる場所を丹念に舌でなぞる。だが、潤み始めた花弁には触れない。すぐ近くまで舌を這わせては焦らす。焦らしてはキリカの情欲を煽った。
「ひぁ・・・っ」
舌先で擽られたまま、花弁の上の小さな蕾を指先で撫でられたキリカが高い声を上げた。
「んっ・・・、んぁっ・・・」
花弁から蜜が溢れているのが分かる。疼いて堪らない。早く触れてほしい。だが、黒死牟はキリカの反応を悦しむかのように焦らし続けた。
「んっ、あぁっ・・・」
鋭敏な刺激に腰が浮いてしまう。もっと触ってくれと言わんばかりの格好に、はしたないと思いつつも身体は悦楽に支配されていた。
「あ・・・、巌勝様・・」
気付けば、助けを求めるかのように愛おしい人の名を呼んでいた。はっとして面を上げれば、愛撫を止めた黒死牟と視線がぶつかる。
その顔はキリカが何を言わんとしているのか明らかに察していた。愉しそうにキリカの面を覗き込んでいる。
「如何した・・・、キリカ・・・」
「あの・・・」
「言わねば・・・、分からぬぞ・・・」
キリカは知っていた。正直に言わなければ、延々と焦らされ続ける事を。果てのない、気が狂わんばかりの快楽を与えられ続ける事を。
だからと言って、正直に欲望を吐露するのも憚られた。言えば、いつも以上に執拗に責められるからだ。
この先、自分を待ち受けているのは快楽の底無し沼。
逡巡するキリカに追い討ちをかけるように、耳元に、するりと声が潜り込んできた。低い、艶めいた声が。
「さあ・・・、言うのだ・・・」
「・・・・」
「言わねば・・・、止めてしまうぞ・・・。私はそれでも構わぬが・・・」
「・・・、・・・」
「お前・・・、次第だ・・・」
吐息混じりの囁きがキリカの身体の芯を揺さぶる。これ以上は我慢出来ない。
「・・・っ、もっと触ってください・・・」