第2章 前兆 前編
「先輩の機体として、申し分ないわね」
キョウスケの話によると、ゲシュペンストと感じは変わらないけれど、
馬力がありすぎるのでよく引っ張られるらしい。
一応、乗っている内に慣れていっているのと、戦闘後には必ずセイカが機体調整を欠かさないのもあって特にこれと言った問題はないようだ。
「本当に仕事が早いな」
と、現れたのはキョウスケ。
色々考えながら手を動かしているので、セイカはもう一体のエクセレンが搭乗しているゲシュペンストMk-Ⅱの整備に取り掛かっていたのだが、キョウスケに気づいて顔を向けた瞬間、今までの大人びた表情からいつものあどけない表情でニコっと笑う。
「あ、センパイ。おつかれさまー。アルト…じゃない、ゲシュペンストMk-Ⅲへの戦闘データは全部送ってあるから後でTC-OSの最適化しといてね~」
PTを動かすためにあるTC-OS。
機体に蓄積されている戦闘のモーションパターンデータから、最も効率的で適切なデータを人工知能が選択。
それによって、パイロットが意図した行動をすることができるものだが、
データの種類や優先順位をパイロットの好みや操縦のクセに合わせて最適化することが可能なのだ。
「…ああ、わかった…」
キョウスケが不思議そうにセイカを見ていた。
じっと見つめられるのが不思議に思い、彼女は目をパチパチしていた。
「どしたのー?」
よく見ると、彼女の瞳の色は左右異なっている。
右はライトブルー、左はブラッドオレンジ。
いわゆるオッド・アイである。
名前からして日本人であるはずなのに不審を持たれたのかと思ったセイカは首を傾げながら、自身の眼を指して答える。
「あたしの目、カラコンだよっ。左右違う目の色って、カッコいいと思って☆」
「そうなのか。いや、そうじゃない」
「へ?」
「多分、セイカちゃんの性格変貌の事じゃないのぉ?」
と、エクセレンがやって来た。