第7章 追憶~約束~
『セイカ、応答しろ。セイカ!』
ゼンガーもずっと呼びかけているが、返事は無い。
だがセイカの乗るゲシュペンストは上体を起こし、損傷しているせいで安定はしていないが手にしたマシンガンを連射する。
しかもただがむしゃらに連射しているわけではない。敵の動きを先読みし、直撃させている。
機動性を誇っている戦闘機も、次々と撃墜された。
戦車からの砲撃を受け、マシンガンが弾かれると同時に機体が大きく仰け反りそうになるが、持ち直して左腕に搭載されているプラズマステークで応戦する。
だがその動きは鈍く、攻撃を当てたと同時にセイカの機体も大きく損傷を受けた。相討ちに近い状態だった。
エクセレン、ブリットの援護を受けながら全ての敵機を撃墜した時にはセイカの機体の損傷度は60%を越えていた。
戦闘を終了のサイレンが鳴ると、機体はその動きを停止してしまった。
二人がセイカの機体を、格納庫へと運んだ。
すでにその場にはグレッグとゼンガー、そしてマリオンとリシュウがいた。
「セイカ君は無事なのかね?」
「それが…こちらでもさっきから呼びかけているんですけど全く答えてくれなくて」
整備員達も心配で仕方が無いようだった。
エクセレン達も機体から降りて来る。
「戦闘中も音沙汰なし。もしかして…閃いちゃったのかしら…?『見える…私にも敵が見えるぞ!』って」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」
「それにしても、出てきませんわね。あのコ」
「初陣じゃからのう。終わって気絶しておるのかもしれん」
彼女の機体が被弾した時から、ゼンガーは胸騒ぎを感じていた。
動いて戦ってはいたが、応答は一切無し。
そして今は、出てこない。取るべき方法は一つ。
「コックピットハッチを開けてくれ。俺が行く」
「わ、わかりました」
整備員の手によって強制的にコックピットハッチが開閉されると、ゼンガーは中へ入る。
目にしたのは、酷く身体を震わせてぽろぽろと涙を零したセイカの姿だった。
髪は振り乱したのかボサボサで、身体が尋常ではない程に震えており、操縦桿を握ったまま目の焦点はまるで合っていない。
「…セイカ」
声をかけるとビクリと反応し、ゆっくりと視線を向けた少女は反射的にニコリと笑い、かすれた声で言った。
「ごめんなさい」