第1章 ATXチーム
司令室にはこの基地の司令官、グレッグ・パストラル少将とゼンガーがいた。
「ご苦労だったな、セイカ君」
「すこぉし危なかったですけど。親分、おつかれさまー」
「…うむ」
「早速ですまないがパーツの組み立てと最終調整の後、テストを開始してもらいたい」
「了解ですっ。先に零式の様子見に行ってから取りかかりますね」
「ああ、それからでも構わんよ」
彼女の性格を知っているからこその言葉だったが、部下の事を理解してくれているグレッグを彼女はとても尊敬している。
おかげでこの基地はとても居心地が良い。
彼女は元々軍に所属していた訳ではなく、諸々の事情があって整備員になった。
このラングレー基地ではセイカを知らない者がいないほど、凄腕のメカニックとして有名になっていた。
本人はただ好きな機械をいじっているのと一緒らしく、全く自覚がないが。
「ではでは~」
「セイカ、話がある。司令、自分も失礼します」
と、ゼンガーも一緒に司令室を出ていく。
零式がある地下格納庫へ向かいながら、ゼンガーが話を切り出す。
「ここ最近の偵察機の出現をどう思う?」
「んー…北米、南欧、極東、でもってマーケサズ諸島の特定地区…その辺りだけ出現率が高い。
その共通点はエアロゲイターに対抗するための兵器を開発してる所。ってことは…さっきのは偵察?」
「俺はそう見ている」
現在、開発中のATX計画の機体とグルンガスト零式の調査で現れたのなら、辻褄は合う。
さっきはバグスに狙われた時に危険を感じたが、死ぬとは思わなかった。
もし、本当に絶体絶命であれば“感覚”で感じ取り、無意識にでも操縦桿を奪い取っていたに違いない。
そういう“感覚”を持っていた。
「奴らが本格的に動き始めるのも、そう遠くは無いだろう」
「んじゃ、急いでいろいろと準備せにゃー!だねっ。それは任せて☆」
「うむ、頼むぞ」
セイカは笑顔でVサインを返した。
ATXチームはゼンガー・ゾンボルト少佐を隊長とし、キョウスケ・ナンブ少尉、エクセレン・ブロウニング少尉、ブルックリン・ラックフィールド少尉で構成されている。
だがその中に、パイロットではないがチームに無くてはならないメンバーが一人存在している。
それが、ATXチーム専属メカニックであるセイカ・タチバナであった。