第1章 ATXチーム
ちょうど格納庫へ入った時に、3機の機体が戻ってきた。
ゲシュペンストMk-Ⅱ2機と、ゲシュペンストMk-ⅡタイプTTである。
グルンガスト零式は地下の別格納庫に行くため、ここにはない。
他の整備員達が早速、機体の修理を始めている中でセイカはパイロットが降りてくるのを待っていた。
すると、ゲシュペンストMk-Ⅱの1機から赤いジャケットの青年が降りて来た。キョウスケである。
相変わらずの仏頂面で歩いていたので、大声で叫んでみた。
「キョーーーーースケせんぱぁぁぁぁぁい」
広い格納庫でも割と響き渡る自分を呼ぶ声に、さすがに驚いたキョウスケはその場で足を止める。
手すりから大ジャンプで目の前に降り立った少女を微かに警戒していたキョウスケだが、ついさっき通信で会話していた事に気が付いたようだった。
「たしかさっきの…」
「はい、セイカ・タチバナです。これでもATXチームの専属メカニックだよん」
「そうだったのか。じゃあ同じメンバーというわけだな」
「メンバーの内には入ってないようなモンだけどぉ、一応…かな。改めてよろしく」
セイカが握手を求めると、キョウスケはそれに応じてくれた。
「戻る途中でエクセレンやブリットから話を聞いている。
整備員30人分の働きをするらしいな」
「ありゃりゃ、大きく出すぎですよぉ。確かに仕事は早いけど。できるだけパイロットさんに負担をかけないようにいろいろと機体調整をさせてもらってますー。あ、そうそう。ハカセからご指名入ってるので後でラボに行ってね」
「わかった。それと、どうして『先輩』なんだ?」
「あたしの趣味ですっ。ダメだったらそのまましょーいで…いっぱいいるけど」
「周りが周りだからな。おれは別に構わんが他の場所では気を付けた方がいい。ここと同じとは限らない」
「へーきへーきっ、ここが特殊だってことはわかってるからっ」
にこっとセイカは笑ってみせた。
実は彼女が上手く階級呼びすることが出来ない、というのをキョウスケが知るのは少し後の事だったりする。
「そんなワケでセンパイ、機体の事はバッチリおまかせ!
頑張るっす!!」
「ああ、よろしく頼む」
キョウスケと別れて次にセイカが向かうのは、司令室。
「セイカ・タチバナ、入りますです」