第7章 追憶~約束~
その頃、格納庫で整備を行っていたセイカは連邦軍の人達に囲まれていた。
誰なのかわからないが、先頭にいる数人からは威厳のようなものを感じるので、彼らは偉い人という認識くらいである。
少し物々しい雰囲気を感じ、周囲の整備員達にも緊張が走っていた。
しかし、それにも動じないのがセイカである。
「あのぉ、あたしに何か用ですか?」
すると、その中の一人が前に進み出る。
一番人のよさそうな顔をしている印象の中年男性だった。
「セイカ・タチバナ君だね。私はレイカー・ランドルフ。極東基地の司令官を務めている」
「あ、お初にお目に、かかりますです…えっと、あまり丁寧に話せなくて」
「構わない、グレッグから話は聞いているからね」
「君の力には期待している」
と、少し硬い表情をした男性が話しかけてきた。
「私はノーマン・スレイ。地球連邦統合参謀本部の者だ。君の力を是非、一目見たいと思っていたのだよ」
「ふぇっ?」
状況が呑み込めないセイカは声が裏返った。
「君にはこの後、PTでの実機訓練に参加してもらう」
思わず持っていたタブレットを落としてしまった。
そして、現在。
セイカはゲシュペンストMk-Ⅱのコックピット内にいた。
各部位の状態を見るために起動させることは確かにある。
だが、実機で戦った事は一度もない。
『今からパイロットじゃないって正直に言って降りた方がいいわよ』
『事情をちゃんと皆さんに説明すれば―』
「大丈夫」
心配するエクセレンとブリットからの通信に対し、セイカはそう答えた。
「あたしもATXチームだもん。戦えないとおかしいもんねー?」
パイロットじゃない事に劣等感を感じていたのか。
彼女は今も充分すぎる程良く頑張ってくれている。
それでも足りないと言うのだろうか。
司令部で待機しているゼンガーは、一連のやりとりを静かに聞いていた。
事情を知った後、噂は事実と異なっていると説明するべきだとすぐにノーマン達の所へ向かおうとした。
だが、それを止めたのはセイカ本人。
「大丈夫!親分の部下として精一杯やってみるね!」
怖がっているのなら止めるべきなのだが彼女の意志は強く、その様子はいつもと変わらない。
見届けるしかない状況に、ゼンガーは歯がゆさを感じていた。