第7章 追憶~約束~
「…時間だ、ゼンガー少佐」
グレッグもどこか沈痛な面持ちだ。
「…了解。これより、状況を開始する!ATXチーム、ただちに配置に付け!!」
ゼンガーの声を合図にエクセレンとブリット、そしてセイカの乗るゲシュペンストが勢いよく飛び出すと各配置に付く。
実戦経験が無いセイカの機体の動きは、思ったよりも安定してるように見える。
訓練の相手は数機の戦闘機と戦車。AI搭載の無人機だ。
『ブリット君、セイカちゃんに出来るだけ敵を近づけさせないように私達だけで撃破するわよ?』
『了解です!』
『いいか、PTに乗っているからと過信するな。特に戦闘機は機動性がある。相手の動きをよく見ろ…では、開始だ!』
無人機が攻撃を始めた。
エクセレンとブリットは攻撃を回避しつつ、応戦している。
セイカはマニュピュレーターを動かしてマシンガンを構えようとするが、攻撃を避けるのが精一杯だった。
自分で整備しているだけあって機体の調子は抜群のようだが、回避するにはパイロットの技量も伴う。
避けているだけでも大したものだったが、彼女のその動きは相手の攻撃パターンがわかっているかのような動き方だった。
同じく司令部で観ている連邦軍上層部の面々から感嘆の声が上がっている。
「…うまく…いかない…っ」
司令部とは違い、セイカは必死に敵機の動きを見定めながら回避を続けていた。
「あたしだけじゃ…やっぱり」
その脳裏に、悲しそうな表情をする青年がよぎるとセイカは一瞬動きを止めてしまった。
すると、戦闘機のミサイルがゲシュペンストMk-Ⅱの背部に命中する。
バーニアスラスターに被弾し、その爆発の勢いで機体が大きく体勢を崩して前に倒れてしまう。
『きゃあああっ』
『セイカちゃん!!』
『自分が応戦します、少尉はセイカを!』
白いゲシュペンストを駆るブリットは二対の誘導式の武器、T-LINKリッパーを発射し、的確に敵機を切り裂いて破壊する。
『セイカちゃん、大丈夫!?応答して!』
セイカは意識を失ってはいなかった。
損傷度はそこまで高いものではなかったが、バーニアスラスターを損傷した影響でホバリングやジャンプなどは制限されてしまう。
怪我はない。だが彼女は通信を開こうとしなかった。
いや、開けなかった。