第7章 追憶~約束~
当初から不思議に思っていたが、その潜在能力には驚かされる一方だとゼンガーは思っていた。
ブリットも同じような事を言っていたが彼には元々特殊な能力があり、白いゲシュペンストタイプTTもブリット専用として共にやって来たものだ。
それにどちらかと言うと、セイカの勘の鋭さはかなり的確だった。
その状況を伝えるとならばオペレーターの勉強をとグレッグが薦め、彼女は喜んで話を受けた。
「セイカ君は相当ゼンガー少佐の力になりたいのだね」
と、グレッグも感心していた。
確かに彼女はゼンガーに助けられて基地へやって来た時から彼を慕い、その助けになる為に整備員としての腕を磨き、ATX計画でマリオンの下について勉強しつつ、ATXチームの専属メカニックとしてチームの機体の調整に余念がない。
それだけではなく、サポートできるようにとオペレーターまでやっている。
仕事量が多く、マリオンに叱られたりもするので時折目を回してはいたが、弱音を吐かず、いつもの調子を崩さず職務をこなしていた。
その超人的な働きに、基地内ではこんな噂が立った。
【一人で30人分の働きをする整備員】
もはやセイカを「見習い」と呼ぶ者はいなくなった。
そして、その噂に尾ひれが付いた。
【整備員の利点を活かし、機体の弱点を的確に突けるパイロット】
機体の整備は出来るが、一度も搭乗して戦ったことは無い。
パイロット志望をしたことも無かった。
しかし、噂があまりにも広がりすぎて、ついには連邦軍の本部にも届いてしまう。
「では、整備行ってきます♪」
オペレーター業務を一段落させたセイカは、その場にいたグレッグやゼンガー達に敬礼しながらぴょんぴょん跳ねるように司令室を出て行った。
「元気ねえ。キャリアウーマンみたい」
「それは違う気が…」
「諸君。後ほど連邦軍の各基地から数名ここへやって来る予定だ」
そう言ったグレッグは少し困った表情をしている。
ゼンガーはその様子を見て何かに気づく。
「…目的は?」
「ATXチームの力を見たいそうだ。だが…」
次の言葉は予想できないが、彼の様子からしてあまり良くない事だというのは誰もが予想できたが…
「…セイカ・タチバナを交え、実機訓練を行いたいとの事だ」
その予想外の答えに、一同は言葉を失ってしまった。