第6章 追憶~出会い~
基地に来てからさほど日が経たない内に、見習い整備員であるはずのセイカの立場が変わっていた。
機械いじりが得意でもPTについての知識は他の整備員の方が上だったため、現場でそれを教わりながら作業をしていた。
だが数日後には知識を理解し、急激に作業のスピードがアップした。
日頃の疲れのせいかと整備員達が錯覚してしまうほどの不可思議な現象が、確かにそこで起こっていた。
「…あいつが何十人も見えるぞ!」
「手足が見えない…!?」
常人とは思えない速さであちこちからセイカが入れ替わり立ち替わりながら整備をしている。
一機のPTを整備する時間が大幅に減少し、大体一人で仕上げてしまう。
しかも、彼女が整備したPTに乗ったパイロット達から乗る毎にPTを扱いやすくなっているという証言もあり、負担も減っていた。
整備員達の仕事量も大幅に減ったが、これでは他の者達の面目丸つぶれだ。
とは言え、だからと言ってセイカは大きな顔をするわけではなく、PTの知識を高める為の勉強を欠かさない。
戦闘データを整理し、パイロット達の個々のクセを理解して調整を施し、搭乗する機体の整備を万全にしている。
故に最初は多少なりとあった、セイカへの批判はさほど広がることは無かった。
機体に話しかけている様子も初めは滑稽に思われていたが、やがてラングレーの名物となっていった。
「ゲシュちゃんおつかれさまー!うんうん、程よい損耗の仕方だね。調子よさそうでよかった♪」
ある日、格納庫でいつものように機体との対話をしていると後ろから声をかけられた。
「いつもご苦労様ねん」
声をかけてきたその女性は、パイロットスーツに身を包んでいた。
即座ににっこり笑って敬礼する。
「あ、パイロットさん。おつかれさまー」
「あらん?私の名前知らない?私はセイカちゃんのコトよく知ってるのに~」
セイカの記憶の引き出しが開けられ、猛スピードで検索を始めるとヒットした名前があった。
「…エクセレン・ブロウニングしょーい、ですねっ」
どうもセイカは階級呼びが苦手で、ゼンガーの階級である少佐もうまく言えずに困っていたところグレッグの特別措置として階級呼びは免除されていた。