第6章 追憶~出会い~
彼はこちらを見つけると、ゆっくりと歩み寄ってきた。
「気分はどうだ?」
表情には出ていないけれど、心配してくれているのがわかって嬉しくなる。
「お世話になってます!えっと…」
この人の名前を聞いてなかったと眉をひそめていると、彼もそれに気づいたらしい。
「まだ名乗っていなかったな。俺はゼンガー・ゾンボルトという」
「ゼンガー…ゼンガーどの!…う~~ん、親分さん?」
彼の名前とその姿を見て瞬時に浮かんだのは、日本の時代劇。
確か侍とか武士とか。
けどきっとエライ人だから…親分というのが合ってそう。
というのがそのまま口に出た感じになった。
そう呼ばれた当人は一瞬だけ固まりはしたものの、特に怒ってはいないみたい。
「…好きに呼んで構わん」
「はぁい。じゃ、親分っ」
本人からしっかり許可を得たので、そう呼ぶことにした。
「ごめんなさい。気づいたら気絶しちゃって。もう大丈夫、何ともないです」
「そうか。目が覚めて早々申し訳ないが、敵に襲撃された時の状況などを知りたい。司令部へ同行してもらいたいのだが」
「…お役に立てるかわからないけどぉ…助けてもらったご恩があるから、行きますっ」
事情聴取、というところだろう。
と言っても大した情報は持ってないけど、恩には報いたいので話せることは話しておかなきゃ。
看護兵さんにお礼を言って、ゼンガーと共に医務室を出て行く。
司令部?へ向かう道中、格納庫を通りかかった時だった。
何かを訴える声…ううん。念って言った方がいいのか…そんなものを感じてその方向へ目を向けた。
そこにあったのは青い機体。
先程、助けてくれたゼンガーが乗っていた機体と同じものだと思われる。
どうやら整備が行われているようだ。
足を止めて側の手すりに手をかけながら、耳を澄ます。
≪…右足…関節…背中モ…上手く、跳べナい…≫
駆動音にほんの微かにだが異音が混じっている気がする。
整備の人は気づいてないのかな?
少し後ろを歩いていたはずの気配が止まったのに、ゼンガーは気づいた。
「どうした?」
「あのコ、足の調子が悪いみたい」
「わかるのか?」
ゼンガーはその視線の先にある機体に目をやりながら、尋ねてきた。
「あのコがそう言…あ。少し機械をイジってたから…ごめんなさい、ちょっと出しゃばりますっ」
そう言って足早に駆け出した。
