第5章 決意
『あらら、逃がしちゃった…ボス!責任とってよね』
『そうだったのか。エルザム…あえてイバラの道を』
『…隊長?』
キョウスケは先程と違うゼンガーの様子に気づいて、声をかけると彼は目を伏せたまま答えた。
『キョウスケ、俺は奴を追う』
『隊長、深追いは…』
『俺は俺の進むべき道を見つけた…後は頼む』
『ゼンガー隊長?!』
『ちょ、ちょっとボス!どうしたの!?』
『隊長!どういうことです?何を考えて―』
通信を切ったゼンガーはエルザムを追って一人、海を渡っていった。
レーダーからはすぐに反応が消えてしまった。
『アサルト1、応答してください!アサルト1、応答を…駄目です、ロストしました』
『機関、最大戦速。零式が消えた方向へ向かいます!』
『いけません、それでは敵陣の中に突っ込むことになりますぞ。それに…』
ショーンとキョウスケ、エクセレンは察していた。
『…キョウスケ』
『ああ、隊長は…』
『…もう、戻ってこないかも知れないですな…』
『そ、そんな…』
キョウスケもエクセレンも、ゼンガーが衝動で動く人間ではないことを知っている。
何か理由があることも…。
だが、その理由までは見当もつかなかった。
(見極めなければならん…俺にはその使命がある)
エルザムと戦い、ゼンガーは気づいた。
“劇的な試練”を同じように課そうとしているのであれば、まずはDCに赴く必要があると。
一度は失いかけた命、重い罪を背負って戦う覚悟は充分にある。
守らなければならなかった者を犠牲にした上で、生き恥を晒しているのだから。
(…無駄にはせん。お前が、俺を生かしてくれた事を…!)
今はもういない、大事な部下であった少女の姿が浮かぶ。
ゼンガーはその姿に誓うと、遠くに見える黒い機体を追い続けた。
その先には、アイドネウス島が見えていた…。