第5章 決意
そんな事をタスクが考えていると、アルトアイゼンの整備を終わらせたキョウスケがやって来る。
「…あのコがいないと、変に格納庫の中も静かに感じちゃうわねえ」
「どこにいても賑やかでしたから…」
「おれは基地に来てから日が浅いが、誰よりもおれ達の事を考えてくれていた。だからこそ、あいつの気持ちを汲んだんだ」
セイカはATXチームメンバーの中では唯一の非戦闘員。
だが、チームを大事に思っていたのも知っている。
いつもPTの状態をこまめにチェックし、すぐに出撃できるように万全にしてくれていた。
機体だけではなく、パイロット達のケアも忘れない。
不利な状況に追い込まれていても、彼女は決して逃げなかった。
そういう強さを、隊長であるゼンガーが認めていたこともわかっていた。
「いつも当たり前だった『おつかれさまー』が聞けないのは、寂しいわよね」
特別でも何でもない労いの言葉ではあったが、セイカが言う事によって戦闘が終わったんだという実感を持たせてくれていた。
それは彼女が危険を感知する人間レーダーであったが故であり、表情や態度に出さないが人一倍周囲に気を張っているだろうセイカのその言葉を聞くことによって、やっと安堵できると感じさせてくれる大事な言葉だったのだ。
辛かったのはATXチームだけではない、オクト小隊であるカチーナとラッセルも同じ気持ちだった。
妹分として見ていたセイカを失くした悔しさは人一倍である。
「あのバカセイカ…!死んだら何にもならねえだろ…」
「ゼンガー少佐、いつもと変わらない様子でしたね」
「割り切ってるってか…あたしには出来ないね」
悲痛な表情で吐き捨てるカチーナだった。
ブリッジにいるレフィーナは一人、艦長席でうつむいていた。
最後に見たセイカの凛々しい表情を思い出すと、助けられなかった悔しさと悲しさが襲ってきた。
戦闘に出ることが出来ない分、精一杯機体の調整に励んでいたという。
時にはオペレーターとしてサポートもこなしていた彼女を思い出すだけで、涙が込み上げてくる。
言葉を交わした時間は多くないが、それでも彼女のひたむきさ、とにかくポジティブな姿に時には勇気を貰うこともあった。
すると、扉の開く音がしてレフィーナは慌てて溢れかけていた涙を拭う。
やって来たのはゼンガーだった。