第5章 決意
「北米地区の作戦指揮、ご苦労だったな」
DC指導者ビアン・ゾルダークが通信で何やら話をしていた。
『ラングレーを陥落させたとはいえ、全てが終わったわけではありません。こちらからに揺さぶりを掛けるつもりです…
労いの言葉は、どうか成し遂げた後に』
「堅実だな」
『総帥はこれからの世界を背負って立つお方です』
「私も戦ばかり考えている訳にはいかんからな、この戦いが終わった後には…お前にも裏ではなく表の仕事をしてもらうぞ」
『はっ…いずれまた』
通信を切ると、いつの間にかビアンの前に一人の男が控えていた。
「ロレンツォ、オペレーション・ムルロアはどうなっている?」
「はっ、今日中にはファイナルフェイズへ移行できるかと」
「では…マイヤーに伝えてくれ。いずれジュネーブで会おう、とな」
「はっ」
「アードラー、ヒリュウ改はどうしている?」
今度は、一人の老人が姿を現す。
「あの外宇宙探査航行艦のなれの果てなど、総帥がお気になさるほどのことは無いと思われますが…?」
「今後のためには、ある程度の均衡は必要だ。あの艦には元教導隊のゼンガー・ゾンボルト率いるATXチームがいると聞いた。
私としても、優秀なハードを活かすソフトが欲しい」
「ストークやキラーホエールではその役目は果たせぬとおっしゃられますか?」
「優勢な状況より、劣勢な状況の方から生み出された方が望ましい…人は逆境において成長するものだ」
ビアンはどこか楽しげに笑みを浮かべつつ、そう言った。
(…敵側から人材を起用し、それを中核戦力としよういうのか…馬鹿な)
副総帥であるアードラーの腹の内はそう思ったが、とりあえずはそれを口にすることはせず、そのまま奥に秘めた。