第4章 別離
『…撤退する。隊長…命令が無ければコックピットから引きずり出してでも連れて行く』
『キョウスケ!お前、司令や博士達を…セイカを見殺しにするつもりかよ!?』
『おれ達の命は、ここで賭けるには小さすぎる。もっと大きな戦いで張るべきだ…その賭けに乗った司令達の期待を裏切るわけにはいかん』
すると司令室とは別の場所から通信が入った。リシュウからである。
『本当にいい部下を持ったな、ゼンガー。よく心得ておる…己が命を賭ける場、お主も見極めよ』
『…っ…承知…!』
『生きて会えれば、新しい装備を考えますわ』
今度はマリオンからも通信が入る。
『ラドム博士…!』
ヒリュウ改のブリッジで、沈痛な面持ちのレフィーナは命令を出した。
『各機、帰還してください…これより…撤退します…!』
『カンチョーさん、ATXチームをよろしくです』
モニター越しにセイカは敬礼して見せた。その表情は、とても凛々しい。
『元気でね、ブリット、ねーさま、センパイ………親分っ』
掛ける言葉も見つからずエクセレン、ブリットも悲しみと悔しさが入り混じった様子でそれを見届けるとヒリュウ改に向かう。
キョウスケは振り返らなかった。
ゼンガーも悔しさを噛み締めながら、しっかりとモニター越しのセイカを見ている。
これが、最後の会話になるのかと思うと胸が張り裂けそうな想いでいっぱいだった。
だけどここでそんな顔は見せられない。不安そうな顔は絶対しない。
生きていてほしい、自分の分まで。
いつもと同じ調子でにっこりと笑った。
…いつもと違うのは少し、視界がぼやけていることだけ。
『絶対に、生きて…ね?』
『セイカ―』
セイカは通信をこちらから切った。
そしてヒリュウ改は全機体を回収し、空域から脱出していった。
遠ざかるヒリュウ改を目にすると、安心したのか止めどなく涙が溢れ出てきた。
(これでいいの。みんなが、親分が無事なら…)
グレッグは小さく肩を震わせ嗚咽しているセイカの肩に手を置くと、力強い声で命令を飛ばした。
「可能な限り時間を稼ぐ!対空設備とHOSジャマーを使うぞ!!」
それからしばらくの後…地球連邦軍北米支部ラングレー基地は、壊滅した。
これで南米に続いて北米もDCによって制圧されたのだった。