第4章 別離
『今からHOSジャマーを使用し、敵の眼を潰す。その間にこの空域から離脱し…マンハッタン隕石孔へ迎え!連邦軍の残存部隊が集結している』
『何を…司令!自分がここを抑えます!総員に撤退命令を!』
『時間が経てばここもMAPWによる攻撃を受けるだろう…逃げ場がないのは君達ではなく、私達だ』
「しれい…」
彼はセイカの言いたかったことをそのまま伝えてくれた。
レーダーは基地を包囲している機体以外の熱源を感知していた。
瞬時にそれがMAPWだと気づいたセイカは勝ち目が無いと悟っていたのだ。
そしてゼンガーが決して逃げるつもりは無いだろうことも。
このままでは命を散らしてしまう。
それだけは、絶対にさせたくない。見たくない。
『司令は自分に生き恥をさらせと!?』
『生きていれば反撃の機会はつかめる。いいな?これは命令だ』
『司令ッ!!』
『親分がいなくなったら、残されたみんなどうなるのっ!!!!??』
セイカの怒号が響き渡った。
さすがのゼンガーもそれにはおののいた。どんなことがあっても、今まで彼女が一度として怒ったことが無かったからだ。
『セイカ…っ』
喉が痛い。
苦しい、けど伝えないと。生きていて欲しいから。
ほんの一瞬だけ顔が歪んだが、毅然とした様子で言葉を紡ぐ為に再び口を開いた。
『今は逃げちゃうことになるかもしれない。でもこれは決して背を向けたわけじゃない、諦めてないんだもん。でしょ?』
『…だが、お前が』
撤退する、ということは基地は無事では済まないだろう。
それは部下である彼女の死を意味していることを指している。
だが、セイカはいつもの通りににっこり笑っていた。
『あたしだって親分が認めてくれたATXチームだよ?ここで戦わなきゃね♪』
本当は泣きたかった。けれど、そうするわけにはいかない。彼らを無事に逃がすまでは。
死ぬことよりも、何よりも、大好きなみんなと…ゼンガーと一緒に行けないことが辛かった。
彼は、自分を助けてくれた。
今度は、あたしが助ける番。
『センパイ…!』
キョウスケは何も答えなかったが、通信モニターに映るセイカと一瞬だけ目を合わせた。