第4章 別離
「密会じゃないっスよ。どうしたんスか?」
「そろそろここからお暇しようと思って、挨拶にだな」
「え~、おじさまもう行っちゃうの?」
「私もセイカと離れるのが名残惜しいんだが、野暮用があってね。極東にいる息子に土産を持っていくんだよ」
極東とは、ATX計画と双璧をなすSRX計画が進められている極東支部伊豆基地のことである。
異星人の技術であるEOTを全く使わないATX計画と違い、SRX計画では積極的にEOTを応用した試作機の開発が進められているらしい。
こちらもあまり詳しくはないが、T-LINKシステムというものが搭載されており、その適格者の選抜に難航しているという事だけは知っていた。
実はブリットが搭乗しているゲシュペンストMk-ⅡタイプTTにもそのシステムが搭載されている。
しかし、手出ししないようにと厳重注意されていて、セイカ自身その部分だけは触ったことが無い。
「極東もDCとの戦いに苦労しているようだからな、グルンガスト一号機を持って行ってやるのさ」
「……突かれるかも」
「は?」
「おじさま、ちょっと待って!お見送りしてもらうようにドラゴンのカンチョーさんにお話ししますからっ」
返事も待たずにセイカは走り去ってしまった。
「セイカ…どうしたんだ」
「…これは、また何か“予感”したのかな。彼女はとても勘が鋭いと、あのラドム博士やリシュウ先生も言っていたからね」
セイカが事情を話すと、ヒリュウ改の艦長を務めるレフィーナ・エンフィールドはジョナサンを見送ることに快諾してくれた。
さすが19歳の若さで艦長に就任しただけはあると、セイカは彼女より年下ながらとても感心していた。
どうやら副長である英国紳士なショーン・ウェブリーも、同じ考えだったようだ。
『劣勢を立て直すための補給物資の輸送…敵だったら狙い目だろ、コレ!?――と、言った感じでしょう!!』
本日、司令部にてオペレーター業に徹しているセイカ。
彼女一人いるだけでとても賑やかになってしまうのが、短所でもあり長所でもあった。
『ええ、全くその通りですな。こんなおいしいタイミングは、私が敵だったら見逃せません』
ショーンもすっかりセイカと意気投合している。