第3章 前兆 後編
「親分っ、敵を撃退したらできるだけ早く戻ってきて!」
『何かあるのか?』
「上手く言えないけど、すごい危ない気がするのっ」
『…わかった。アサルト1より各機へ!敵を殲滅後、すぐに基地まで後退しろ!最後まで油断してはならん!』
『了解!』
『セイカ、お前は何があっても待機していろ。いいな?』
「うん。…ありがと、親分」
セイカの予感は恐ろしい程よく当たる事をゼンガーは理解していた。
敵機の数は多かったが、徐々にこちらが押してきてついには指揮官機を撃破することに成功する。
しかも、どうやら指揮官機に乗っていたのはゼンガーと知り合いだったようだ。
『俺のことは察していたようだな、ゼンガー・ゾンボルト』
『…テンペスト・ホーカー少佐』
『元特殊戦技教導隊に所属していた貴様と、こうしてやり合うことになろうとはな』
その場にいた者達が驚愕した。
特殊戦技教導隊とは数年前、人型起動兵器の戦技研究・構築やモーションデータの作成の為に結成された部隊。
現在のPTに搭載されているTC-OSの基本的なモーションデータは、彼らが度重なる試験運用の末に作り出していったものである。
強いて言えば、モーションデータを創り上げた始祖のようなもの。
ヒリュウ改やカチーナ達はおろか、ATXチームもセイカも全く知らなかった。
『所詮は人殺しの技術を教えていることに変わりはない…ただの戦争屋の集団だ』
『その通りだ。しかし、連邦はそれすら理解することが出来なかった。だからこそ、あのコロニーの事件で…俺の妻と娘は死んだのだ!』
再びセイカの“感覚”が告げる。
「親分っ、来るよ!」
『なに!?』
『北東より熱源反応が!』
すると、敵部隊がいる反対方向から大型ミサイルが数発飛んできた。
それと同時に指揮官機が離脱を始める。
『貴様ら連邦に妻と娘と同じ苦しみを味わわせるまでは…俺は死なんぞ!!』
大型ミサイルはMAPWと呼ばれる、大量広域先制武器。
どうやら基地ごと全てを吹き飛ばすつもりのようだ。
ヒリュウ改もATXチームも思った以上に基地から離されてしまっていた。
ミサイルに対処しようにも、距離が離れすぎている。
ゼンガーは先程セイカに言われた通り、テンペストが離脱する前に基地に引き返していたがミサイルを全て迎撃するには無理があった。