第3章 前兆 後編
「…あれ?ナンデ??」
格納庫に配備されているゲシュペンストMk-Ⅱの一体に異変が生じていた。
ゲシュペンストの色はブリットのタイプTT以外は青だったはず。なのに、一体だけ赤に変色している。
しかもその機体は前まではキョウスケが使っていたものであるが、カラーリングを変えるとは聞いていなかった。
どういう状況なのかを把握する暇もなく、次は基地への来襲を告げる警報が鳴った。
「親分っ、敵襲ですっ」
「すぐに出撃する、準備を頼むぞ」
「いえっさー!」
ゼンガーが出て行き、セイカは頬を膨らませる。
「せっかく事情聴取しようとしたのにぃ。タイミング悪すぎたってばっ」
気になることが山積みだが、今は基地の危機。
セイカもすぐに格納庫に向かった。
敵部隊は既に防衛ラインを越え、こちらに来るのは時間の問題だった。
ヒリュウ改や在籍しているオクトパス小隊、ATXチームを出撃させた後、セイカはその足で指令室へ向かう。
オペレーターもこなしているのだ。
「ゲシュの色が変わったのはカチーナねーさんの仕業だったんだぁ」
「ATXチームと同じくらいクセがありそうな連中だからな、オクト小隊も」
グレッグがそう言った。
カチーナ・タラスク中尉はヒリュウ改に所属しているオクトパス小隊の隊長。
かなり勝ち気で喧嘩っ早い性格だが、部下であるラッセル・バーグマン曹長曰く、面倒見がいいらしい。
今まで側にいた女性がエクセレンだったので、とても新鮮だった為すぐにセイカは懐く。
カチーナは相当試作機に思い入れがあるらしく、大方譲れと言ったのだろうが、その前に勝手にカラーリングしたんだろうと予測できた。
(それでもソレに対してツッコまないところが、やっぱりここの人たちは面白いなー)
思い出し笑いしているセイカだったが、そんな時通信が入る。キョウスケからである。
『エクセレン、何故まだ出撃していない?』
『女は低血圧なのよん?っていうか、ラドム博士に試作機に乗れって言われて待たされてるのよね』
『試作機だと!?なんであたしに話が来ないのさ!』
『少尉はATXチームのメンバーですから…中尉が起こる筋合いはないと思いますが…』
『うるさいぞラッセル!背骨へし折るよ?!』
まるで無法地帯の通信乱舞。
そして今度はセイカに追い打ちが。