第10章 【レオナ】午後の幸せ
鏡を抜けて、レオナの部屋までの道を大人しく歩く。
先ほどのキスを思い出しでは頬を赤く染めるサユを見ながら、レオナは楽し気に目を細めた。唇を重ねるのも身体を重ねるのも、もうずいぶんと回数を重ねたはずなのに、その仕草や表情の初々しさにゾクリと男心を踊らされている。
カラッと乾いた風が廊下を吹き抜け、ほんのり草木の香りが漂っているのを感じれば、大きめの扉が開かれてレオナの部屋へと誘導された。
何食わぬ仕草の中に王子であるという風格が見えて、自分がお姫様になったような気持にさせられる事にサユは胸を高鳴らせるが、それと同時に、目の前の彼に少しきつめに抱きすくめられれば、あっという間にレオナの領域へと引き入れられる。
柔らかく大きなベッドに沈められて、先ほどのキスの続きと言わんばかりに唇を塞がれた。
レオナのベッドは、いつでも柔らかくて暖かくてお日様の香りがする。魔法で整えられているのか、ラギーがそれを保持させているのかは分からないが、いつでも心地よいことに変わりはなかった。
「何を考えている?」
離れた唇が触れるか触れないかの所で動かされる。
「レオナ先輩のベッド、いつも気持ちいいなと思って……」
そう正直に答えると、一瞬目を見開いたレオナはすぐさま不機嫌そうな顔を見せた。
男に抱かれると言うときに、ベッドの心地よさが優先させられたと知っては黙っていられない。
レオナは再び彼女の口を塞ぐと、その身体に自らを寄せて優しく愛撫していった。
性急に脱がされた上着はベッドから傾れ落ち、柔らかい肌に直接レオナの手が吸い付く。
中でも可愛らしく立ち上がった胸の頂を執拗なほど愛撫するその指先が彼女の身体を跳ねさせた。
「ベッドと俺の手、どっちがいい?」
「えっ?……んっ…っあ。そんなのッ……」
悪戯に弄られる胸はどんどん熱を持ち、レオナからの質問に首を傾げながらもサユは頬を染める。