第5章 【エース】Flour of heart①
数日後の放課後。
サユとエース、デュースの3人は学園の庭にある花壇にいた。
いっこうにデートに行ける気配はなく、日々を過ごす。
運動着を着て、一生懸命に花壇の草むしりをするサユは、額に汗をかきながら今日のノルマを終わらせようと奮闘しているのに、エースはと言えば、花壇の縁石に座り込んで退屈そうにしているのだった。
「エース、私とデートしたいなら、少しは手伝ってよ」
「えっ?俺が?」
「そうだよ、早く終わればデートできるかもしれないじゃん」
サユにそう言われて、エースは渋々手近にある雑草を適当に抜き始めたが、数本抜いては、マジカメチェックなどをしており、全然進んでいない。
数日前のあのときめきは何だったのかと思わせるほどにエースの態度が気に入らないのは、草むしりで疲れてしまったからだろう……。
しかし、一緒に来ているデュースは文句も言わずに手伝ってくれていて、この態度の差にため息を吐くしかなかった。
「優等生のデュース君は一生懸命手伝ってくれてるのに~」
「当たり前だ!俺は優等生だからな」
優等生と言われ、気分を良くしたデュースは胸を張って雑草をエースに見せつける。
「はいはい。分かりましたよ」
そう言ったエースは、一つ隣の花壇に向かって行ってしまった。