第27章 RPG的なもの(逆ハー)
「やっぱりゲームの中なんですかね」
雨が降り、肌寒く、私自身も緑色のボロボロな服を着ていて腰には少し大きめのナイフを差している。
右胸にしているバッチには『シーフ』と書かれていた。
「このバッチはなんなんだ?」
桂さんも自分の右胸についたバッチに興味を示した。
桂さんのバッチには『魔法使い』と書かれており、横にあるボタンを押していくといろいろな数字が出てきた。
「レベル1…HP18、MP30…」
「ゲームにありがちなあれですよね。
体力と魔力…」
私たちは自分たちの格好を確認しながらなんとなく真ん中のほうへ歩いていると人影が見えた。
…お、私たち以外にもだれかいる?
と、急ぎ足でそちらへ向かえば、斧を落とし地面に横たわるゲームオタク風なあの男が。
「大丈夫ですか?」
走り寄り、男を助け起こすとバッチのHPは0になっていた。
「やくそうなんか持ってないよな?」
という桂さんの言葉で私も腰から垂らした袋を探すが何も入っていなかった。
探していると、男はパッと目を開けて助け起こした桂さんの腕を掴んで
「まずい、まずいこのゲームでHPが0になると…」
と叫んで塔の端まで走りだした。
だが、次の瞬間空に閃光が走った。
バリバリバリバリと割れるような音とともに、雷の矢
が男の上空に現れた。
「見るな!」
桂さんが私にそう叫んだが、私はしっかり見てしまった。
その雷の矢が男の体を貫き跡形もなく消えてしまった様を。
……ただのゲームのはずでしょ?
あとがき
沖田さん、なかなかでてこないです。すみません。
少しの間桂さんと冒険してくださいね。