第27章 RPG的なもの(逆ハー)
「それでは諸君、健闘を祈る。」
黒いマントに白い仮面をつけた男はそう言って去っていき、私たちはなんだか暗い部屋に入らされた。
ブゥゥゥゥン
と電源が入り、すごい勢いで部屋中上下左右空やら海やら生き物やらの映像が流れる。
リアルだ。
そんなことを感じていると、いつのまにか意識を手放していた。
「おい、起きないか」
寒さと異常にクリアーに聞こえる聞き覚えのある声に目を覚ました。
「うあ!?」
そこは、今までいた場所とは全く違う場所だった。
石の壁が目の前にあり、隣には魔法使いみたいなローブ姿をしたあのマリオ男がいて私を抱えていた。
「なななな???」
なんなんだ??なんで?
と少しバランスを崩すとマリオ男もバランスを崩して表情を曇らせた。
え?
と思って下を見ればなんと雲の上。
ええええええええええええ???
思わずぎゅっとマリオ男の腰に腕を回し力いっぱいしがみついた。
「よし、その調子だ。腰の手を離すぞ」
「え?離しちゃうんですか」
急に不安になった。
「…片手じゃもうもたん。
しかも上に登れないんでな。離すなよ」
マリオ男はそう言って汗を流し歯を食いしばりながらゆっくり登り始めた。
私はただその様子を祈るように見つめているしかなかった。
マリオ男の名は桂さんというらしい。
なんとか頂上に到達後、私たちは自己紹介をした。
「あの部屋に入った後、映像が流れてそれがプッツリ途切れた瞬間、俺はこの格好で上空を落下していた。
…その近くを亜貴が落下していたんだ…そこからはわかるな?」
「はい、ありがとうございます桂さん」
桂さんが近くにいなかったらと思うとぞっとする。
そんな会話をしながらあたりを見回せば、ここが人工的な丸い石の塔であることに気がついた。