第27章 RPG的なもの(逆ハー)
「たすけて、桂さん…
銀さん…」
どおおおおおおおおん!
突如曇天の空から、白く光るものが目の前に落ちてきた。
私はすっかり腰を抜かしてしまったのだけど、その物の正体を追わずにはいられなかった。
暗く濁っていた天を分かち、光が落ちてきた軌跡は恐ろしいほどのブルー。
「いつつ…なんだ、ここ…」
落ちてきたその人がゴミ箱の中から立ち上がった。
「キムチ…
お前、またコスプレ?」
呆然と見詰める私に吐いた言葉は、いつもの嫌みな言葉なのに、なぜか、今まで聞いた言葉の中で一番心強くなれた。
「…って思ってたのにー!銀さんレベル1の遊び人ってなんなのー!?」
「そんなの知るか!こちとらドア開けたらまっさかさまゴミ箱にホールインワンで、気が付いたらコスプレーみたいなー?
どんなプレイだっつーんだよ」
そう、あんな鮮やかな登場をしたのに、銀さんは激弱でした。
その上あんな派手な登場だったから、周辺にいた冒険者みんなに気付かれてしまって、裏道大逃走劇を繰り広げている次第です。
「銀さん、一度街を出よう!
あいつら、街の外には出られないらしい」
「はぁ~そんなルールがあんのかこの鬼ごっこゲームには」
「いちおRPGですけど…」
たしかに弱小のうちらにしたら鬼ごっこゲームになってしまうけど。
「先走ってろ!」
突然背中を押した銀さんは、落ちていた鉄パイプで錆びた階段をおもっくそぶったたいた。
階段は金切り声を上げながら崩壊し、頭上にあった通路がすごい音を立てて倒壊した。
その隙に、私たちはうまく敵をまいて逃げおおせました。