第25章 我、道を行く(ヘタリア)
「そのお前が、なぜこんなところにいるあるか?」
「え?ああ。私のような日本人は結構いますよ。こういうところが好きなので」
ネットカフェ、メイド喫茶もいっぱいあるので。とのこと。
なんか夢が壊れる発言である。
ただ、少し平和ボケしている奴で、街に入った瞬間、フランシスにナンパされてこの店で働くことになったらしい。
「まあ、滞在するところも働き口も見つけてなかったので正直助かりました」
「そういう問題じゃないある!」
王耀はこのお人よし加減に飽きれるしかなかった。
(我には関係ないけど)
一緒に変なことに巻き込まれるのはごめんだと思った。
「あ、この裏が寮になってます」
灰色の重たいドアを開けるとそこには一軒のボロアパート。
「げぇ。何あるか、この店との格差は」
「ああ、仕方ないんですよ。でも三食風呂付ですから住めば都ですよ」
聞くところによるとこの本田、かなりの資産家の御曹司だったらしい。
しかしこの順応性である。
「もう、いいある…」
こいつには何をいっても無駄だと、王耀は脱力した。
王耀は実は華族出身なので、とてもこんなアパートになど住めるものではなかった。
(父上が聞いたら、さぞ怒るだろうな…)
そんなことを考えながら、本田から鍵を受け取った。
室内に入ってみると、中は意外にもリフォームされたこぎれいな造り。
「ああ、これならいいある。これなら住めるある」
王耀はそう言ってズザーっと畳にダイブした。
「あ、すみません。部屋を私の趣味にしてしまいました」
リフォームしたのはなんと本田だったらしい。
最初はきのこが生えるほどのひどい状態だったらしい。
「こういうの、放っておけないもので」
「本田!お前と言うやつは、なんて使えるあるか!」
「はあ、恐れ入ります」
ほめられたのか?と本田は少し困ったように返事をした。
とりあえず滞在できるところができた、とこのお人よしと同じことを思っておくことにした。