第25章 我、道を行く(ヘタリア)
「何の冗談あるか。我は男ね」
「そうなんですかー。綺麗な顔してたんでぇ」
男のくせになよなよ話すな、と思った王耀はそいつの背中に思いっきり蹴りを喰らわした。
「これが我の国のあいさつある!蹴り殺されたくなかったら、もう二度と我に話しかけないことね!」
そいつは甲高い悲鳴を上げると、ネオンの街の中へと消えた。
するとパンパンと手を叩いて称賛してくる金髪男がいた。
「すごいねー。あんた、旅の人だろ」
「そうある。…あんたもとばっちりを喰らいたくなかったら、今の我には近づかない方がいいね。機嫌が最悪ある」
「あはは。それは勘弁だわ。お兄さん、繊細だから」
「あの男の仲間あるか?」
「冗談言っちゃあ困るよ。あんな三下オカマ野郎と一緒にしないでくれ」
王耀は警戒はしていたが、この男に一種のカリスマ性を感じていた。
「俺はフランシス・ボヌフォワ。あんたは?」
「王耀」
「ワン…地球さんの中国人か?」
「…珍しいあるか?」
「まあ、中国人はいっぱいいるけど、地球のは珍しいからな」
王耀は少しまずいことを言ったな、と思った。
さっきの発言で明らかに地球から出たことがないことがばれたからだ。
「ふーん。富裕層か。…出稼ぎじゃないよな。あんた何しに来た?」
「遊びに来たある。それ以外にあるか?」
「そういうことなら…」
そう言ってフランシスはうやうやしく王耀の手を取った。
「何するあるか!蹴られたいあるか!?」
「やーだなぁ。ちょっといい店紹介してやるだけだって」
「怪しすぎる奴に任せるくらいなら、ガイドブックに頼るある!」
「ガイドブックには一軒もこの街の本当の店なんか載ってないぜ。
…あんた観光じゃないだろ?ばらされたくなかったら大人しくついてくれば」
にや、とフランシスは笑いながら言った。
だから繁華街は嫌いある…。