第24章 クニゾンクエスト(ヘタリア)
ギルベルトが今より無名だったころ、彼は名をとどろかせることに躍起だった。
クエストに参加しては、他の者のことなどお構いなしに敵を倒しては批難されていたものだった。クエストの内容を終了後に知ったことも多かった。
それくらい彼は有名になりたかったのだった。
そんな時期に受けたクエストが、小国サランの救援であった。
誰も受けたがらない。誰も見ようとしない。張り紙ではなく、なんと同盟国の領主が直々に支援を叫んでいた。それはただ、むなしく酒場に響いていた。
相手は大国・エンソ。
どうやって立ち向かっていいかもわからぬ願いなど聞けるわけもなかった。
そこに、二刀流のギルベルトが立ち寄ったというわけ。
「あ、あの…!お話だけでも聞いていただけないでしょうか…!」
少し頼りなげの少年の名は、トーリス・ロリナイティス。
南サランの領主であった。
「へえ。…って、攻め込まれるのはあんたの領地じゃねえじゃん。
てっとり早く同盟破棄して関係ねえって顔してりゃ、自分の領地くらい守れるんじゃねえか」
ギルベルトのその言葉に、彼は表情を変えた。
「僕だって一国の領主です。それくらい最初から分かっています。でも、俺は友人としてそれができないからここに立っているんです」
光をたたえたその目から、強い決心が見え隠れする。
「ふうん。
あんたいいぜ!気にいった!」
そう言って、ギルベルトはあっさり救援を了承したのであった。
トーリスは最初信じられない、という表情をしていたがすぐに深々と頭を下げた。
こうして二人は他の参加者を募るため、酒場でチラシを配ったり演説をしたりとてんてこ舞いだった。
期日はあと5日。
あとがき
冷酷イヴァンが書きたくてこの話を書いてしまいました。
イヴァンファンの方、すみません!