第22章 ボツ話②俺の彼女紹介します(銀魂・山崎)
国立さんが地球にやってきたのは、数か月前。
一人の子どもを連れていた。
連れていた、というと少し語弊がある。正しくは、少し後ろから尾行されていた。
刀を持ち、彼女の隙を狙っていた。
その子どもには見覚えがあった。…三年前のある戦いで亡くなった隊士の息子だった。
それはよく晴れたある日の午後。
俺たちは珍しく墓参りにやってきた。
懐かしい仲間の名前が並ぶ墓道を、それぞれ思いを馳せながら歩いていると
「あれ、国立大師じゃぁありませんか!!」
不意に先頭を歩いていた局長が、センチメンタルのかけらもない声を上げた。
「あら、近藤さん…ですね」
線香の香りと共に俺たちの目の前にふわりと現われた美貌の女性。
一見少女のようにも見えるが、身にまとう雰囲気から、まぎれもなく大人の女性のようである。
「え?大師殿ですか!」
しばらく何かを考えたまま固まっていた原田隊長も声を上げた。
「誰ですかィ近藤さん、昔の女?」
「ま~さ~か~~~!!ちょ、総悟くんちがうよ!この人超偉い人だからやめて!首飛ばされちゃうから冗談でも言わないで」
沖田隊長の言葉に局長がものすごく動揺して叫んだ。
「あの方は三年前の月基地破壊作戦で、ご一緒した土園の軍師・国立大師です」
「あー…三年前、ね…」
副長も頭をかきながら国立大師の顔を見た。
なんとも気まずい空気が流れた。
三年前の月基地破壊作戦時、十番隊と局長率いる一番隊(沖田隊長は不在)は壊滅的な被害を受けて帰ってきた。
何があったのか、原田隊長も局長も決して口を割らなかったけど、(地球に非常に)近いところで戦いを一か月も繰り広げていたため連日その様子はテレビ・ラジオで放送され、俺たち留守番組も毎日戦況を知ることができた。
そこから推察するに、うちの被害はおおよそ軍師の力無さからくるものだった。