第19章 隣のA.PH(ヘタリア・ティノ)
「ご、ごめんなさい。なんだか飲みすぎてしまって…」
今日も、と言って少し暗い顔をする。
「いいよ、でも体壊すほど飲まないでね」
そういう私は酔ってない。あんまり飲んでないのもあるけれど、ティノくんと飲むようになってから酔えなくなった。だって私まで酔ったら終わりじゃん!!
ティノくんもまた、私と飲むようになってからベロンベロンに酔うようになった。
超飲むのだ。
最初は、強いところを見せたくて飲んでいたみたいだけれど、最近はどうやら違うらしい。
何か悩みがあるようだけれど、酔ってしまうと例のごとくなってしまうので、なかなか聞けずにいた。
「…何かあったの?」
握りつぶしたご祝儀袋が目に入って、聞かずにはいられなかった。
「僕は…
自分が情けないんですよ…。どうしてこういう格好悪いところばっかり見せてしまうのか。
どうしてこんなに子どもなんだろうかと」
支える私の手を掴んで、ティノくんは立ち止まった。
その表情は険しい。
「どうしてだと、思いますか?」
優しい声色でティノくんは囁く。
力づよく肩を掴まれて、私は反射的に体を逸らした。
「あ…」
「逃げないで」
がっちりと腰を腕に捕らわれて、頬に手を優しく添えられ。
こ、こやつ慣れておる…!
考える間も与えず息もできず、少し強引に口づけされた。
しばらく、街の喧騒が嘘のような沈黙が二人の間に流れる。
その喧騒が戻ったのは、二人同時に息を吸った時だった。
「ごめんなさい!」
ティノくんは我に返って、慌てて私の肩を掴んで体を離した。
「いえ…」
私は、夢を見ているようなふわふわとした感覚に陥って、ぼぉっとしたまま返事をする。
「ごめんなさい…
僕は…あなたが好きです」
それだけは、どうしても止めることができなくて。
どうしようもなくて。
ATOGAKI
そして、酔いがさめて後悔に襲われるティノ氏。