第18章 駄目男のプラトニック愛(ヘタリア・フランシス)
俺は巷では有名な若き腕利きの料理人。
ライバルはいっぱいいるけど、あんまりプライドとかないし、周りの目も気にしないから結構気楽に生きてる。
そして、ただ今ヒモ生活驀進中。毎日毎日違う女のもとをふらふらふらふら。
まあ、よく痛い目には遭うよ。…でも仕方ないよね、俺こんなだし。
何に使うでもなく、金はいつのまにかなくなっちゃう。なんだろう交際費その他もろもろかな?
ようは、典型的な駄目男ってわけ。
「怖い女房持てば、万事解決なんじゃねえの?」
とか、本当に下世話なアドバイスをするイギリス男。
お前も俺とたいして変わらねえじゃん。
「ばっか。俺はプライドもあるし、周りの目とか気になるんだよ。お前みたいな…欲望に忠実な生き方はできねえよ!」
「余計なもんばっかりぶら下げて、それがお前のなんなの?バカらしくならない?」
「ならねえ。「なる」と言ったら俺は俺じゃなくなる」
そう言ってそのイギリス男は不味そうなソーセージを上品に口に入れた。
こんな俺にも、ただ一人女友達がいる。
女性との付き合いはあるよ。でもほら…友情までで終わらないのが大人の付き合いでしょ。
よって、女友達は彼女ただ一人だけなのだ。
彼女は、禁欲的で神経質な女性だ。
まあ、つまり俺とは正反対ってこと。
彼女は本当に美しい人だ。
俺は確かに欲望に忠実、醜く刹那的な生き方をしている。
そんな中で、ただ1つ汚れることなく輝いているのが君へのこのプラトニックな愛なんじゃないかと思っている。