第14章 ヤンデレ企画その①(ヘタリア・イヴァン)
〔どこまでも続く深淵〕
空はどす黒く空気は砂が混じり視界が悪い。
こんな世界に、美しいものなんてまだあるのかな。
僕は姉さんにもらったマフラーのほかに、小さなガスボンベとメガネをして街を歩く。
こうでもしないととても外を歩けないのだ。
外出は本当に必要にならないとなるべくしない。この空気のせいで、喘息がはやっている。
しかし、通販を装った犯罪が多発しているため、日用品はこうして自分で買いに行くのだ
砂を払ってから、僕は行きつけの小さなスーパーマーケットに入る。
いつものように店主がめんどくさそうに顔を上げ、強盗じゃないのを確認すると、新聞を読み始めた。
僕は重たい部屋のドアを開ける。
錆びた金属音の向こう、暗い室内には小さな蛍光灯が部屋を水色に照らし出す。
そこには一匹の人魚がいる。
僕の、可愛い人魚。
この暗い世界で、まるでおとぎの国から抜け出してきたような彼女がここにいる。