• テキストサイズ

銀色の夢(銀魂・ヘタリア短編夢)

第13章 窓辺で愛は語れない(フランシス夢)







「危なかったわね。

 あっちはもう軍隊が回っていたわよ」

そう言って煙草をふかす婦人。

ここはあのカジノで一緒になった女性の部屋だった。

「メルシー…」

俺は彼女にお礼を言いながらも、なぜ助けてくれたのかが分からなかった。

「何を不思議そうな顔をしてるのフランシス?

 私とあなたの仲じゃない」

そう言って俺の襟首を掴んで噛み付くようにキスをしてきた。

「ちょ・ちょっと!!!何すんのよー!!」

姫が怒って拳を振りかざした。

「あら。これくらいの役得があってもいいじゃない?あたしは命をかけて助けてやったのよ」

「そうだけど、これはだめ!フランシスはだめ!!」

「ほほほ。勇ましい姫君ね。すごい髪形」

彼女はそう言って長椅子に座った。

「まあ、少しここで休んで行きなさいよ。夜になったほうが動きやすいわ」

「…ますます動きにくくなるんじゃないか?」

「知ってる?ここにもう使わなくなった地下道への道があるの」

そう言って彼女は尖ったかかとで床を叩いた。

「もう少しすれば…ここにある男がくるわ。そいつにいろいろ頼みなさい」

そう言って再び煙草をふかし始めた。 













外は暗闇に呑みこまれ、すっかり夜になった。

「フランシス、気をつけて」

そう言って名も知らぬ婦人は地下水路への扉を開けてくれた。

「婦人、なぜ俺を助けてくれたんだ?」

「なぜ…そうね。

 あなたにとって戯れだったひと時が、私にとっては心の支えだった。

 さよなら愛しい人。どうか死なないで」

そう言って彼女はその扉を閉めた。

俺も姫も、しばらく無言だった。
/ 111ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp