第13章 窓辺で愛は語れない(フランシス夢)
会えなくなればなるほど、会いたくなるなんて皮肉なものだね
彼女のいない窓に向かってメッセージと一緒に花束を投げ入れる。
「フランシス!」
花束を手にした彼女は、窓辺に走ってきた。
少しやつれたように見える。
すぐにその場を離れたほうがかっこいい、とか思ったけど、彼女はどうやら魔法使いのようだった。
名前を呼ばれた俺は指一本動かせない。
彼女の姿を目に焼き付けるように見つめる。
「もう、二度と会えないと思った」
涙をこぼしながら話す彼女。
そんな姿を見ていたら俺まで目頭が熱くなってきた。
「約束しただろ。今度は花束持ってくるって」
その言葉に、うんうんと頷いている。
「フランシスが、殺されちゃったんじゃないかと思って…」
あの噂のことを言っているのか。
俺の心配なんてしなくていいのに。
「大丈夫に決まってるだろ?俺は不死身だぜ」
両手を広げて見せる。
「うん…。
でも、そろそろ逃げたほうがいいかも…」
彼女はきょろきょろあたりを見回してそう言った。
「なんだよ。わざわざ会いに来た男に帰れって?お兄さん傷ついちゃう」
「もう!心配なのよ!早く帰って!」
そう言って彼女がウサギのぬいぐるみを投げてきた。
「おいおい、これどうするんだよ」
「あげる!」
ちょっとちょっと。こんなもの渡されたら、ますます切なくなるじゃない。
そう言い返そうとして、人の気配を感じた。
「じゃね!」
でも、そこのところは逃げ足の速いお兄さん。
投げキスを忘れずに兎さんだけ連れて帰ったよ☆