第27章 RPG的なもの(逆ハー)
久しぶりの風呂に、ゆっくりとつかって出てくると、桂さんが部屋に入ってきた。
その姿は傷だらけのぼろぼろだった。
「桂さん、どうしたんですか?」
桂さんは答えず、背中でドアを押さえたまま何かを考えていた。
「桂さん!」
「冒険者には気をつけろ」
「は?冒険者?冒険者ってうちらみたいな冒険者のことですか?」
「ああ」
ドンッと桂さんが抑えるドアを何者かが押している。
「…誰か、いるんですか?」
「亜貴、銀時がいたら、銀時を頼れ」
「銀さん?桂さんは…?」
「俺はここを抑える」
「そんな、桂さんを置いて逃げられませんよ!私も戦います!」
私はそういってボロボロになった剣をかまえた。
すると、外からいやな視線を感じた。
町の住人たちが熱のない目でこちらを見ている。
私は凍り付いてそちらを見ていると、桂さんは、
「あれはただのキャラクターだ。・・・本当に危険なのは冒険者だ」
ドンッと再びドアが押され手が入ってきた。
「もう、押さえ切れんな…。
亜貴、今までの旅中楽しかったぞ」
桂さんはそういって微笑んだかと思うと、私の周りの地面が光りだした。
これは移動魔法!
「桂さん、嫌です!私も戦います!桂さん・・・!」
私は泣きながらそう訴えたが、私の主張もむなしく魔法は実行されはるか遠く、水のダンジョン近くの森まで飛ばされてしまった。