第27章 RPG的なもの(逆ハー)
「亜貴!どこだ?」
この声は、銀さん?
いや、銀さんのはずがない。銀さんは私の名前なんて覚えていないだろうし。
「おい亜貴!」
暗闇の中、自分を呼ぶ声がする。
その声はとても知っている誰かの声に似ていたけども、その人のはずがないと思った。
「…この扉か?」
その人物は少しだけ隙間のある扉をあけようとしていた。
(…あ、だめだ…その扉を開けては…)
ゲームの世界に吸い込まれちゃう!
必死にその人物に叫ぶが、私の声はその人物には届いていないようだった。
「銀ちゃん、マスク男が目を覚ましたネ」
またしても聞き覚えのある声が、扉を開けようとした人物の名を呼んだ。
やっぱり、銀さんだったんだ…。
「亜貴、起きないか」
そんなことを考えていると、よりクリアーな声が私を呼んだ。桂さんだった。
「桂さん…、私今不思議な夢を見ました。
銀さん、万屋の銀さんという人がいるんですがその人が私を探していて…」
私がそこまで言うと、桂さんはうなずいて、
「俺も同じ夢を見た。銀時だったな、あれは」
どうやら知り合いのようだ。
「同じ夢を見るなんて、あれは夢じゃなかったんでしょうか?」
「案外こっちのが夢なのかも知れんな」
と桂さん。
そっちのほうがありえる。