第27章 RPG的なもの(逆ハー)
私と桂さんはしばらく上空の穴を眺めていた。
そして先に口を開いたのは私のほうだった。
「ここってなんの建物なんですかね?」
「水があるということは貯水庫かなにかかもしれんな」
「ゲームに貯水庫なんてあるんですか?」
「だったらダンジョンだろう」
「私、嫌な予感がします」
「実は俺も…」
そんなことを二人で言い合っていると、不意に水が引いた。
そのため私たちも中央に引き寄せられる。
そして巨大な蛇のような生き物が顔を出した。
「いぎゃぁあああああ!!!???」
リアルで気持ち悪い。
蛇に歯が生えてるような奴。
「水竜だそうだ」
桂さんは冷静にも私のバッチの文字が変わったのを見て言った。
「レベル30…」
最後にそう付け加えて。
「うちらレベルいくつ…でしたっけ」
言わずもがな、レベル1の初戦闘だ。
「勝てるんですかァァ???」
と言いながらも逃げ道がないため剣というのには名ばかりのナイフを構える。
「俺の使える唯一の炎の魔法、あいつに届く前に消えるんだが」
だめじゃん。
だからってあんまり近づくと一発でやられそう。
特に桂さんなんて魔法使いだからHP少ないし。
そんなことを考えていると、急に水竜は首を伸ばして水を飲み始めた。
その勢いの凄いこと。私たちはその流れにのみこまれ、水竜の口の中へ。
「ああ、ここはこいつの水飲み場でもあったのか」
とかなんとか言ってうなずく桂さんに妙に腹が立ったので思いっきりローブを引っ張って沈めた。