第1章 −嵐の夜に−
「私は死神。みんなからは死神様って呼ばれてるよ〜。で、君達の名前は?」
『・・・サン。この子がミオ、だ』
「君達は変わった魂を持ってるみたいだねぇ〜」
アタシ達の魂はとても不安定で感情に左右されやすい所がある。
それは特にアタシの方ではあるのだけれど。
『殺しますか?アタシ達を』
「それは私の質問に答えて貰ってから決めるよ」
答え方ひとつ間違えるとアタシ達に明日は無い。
飄々とした口調にこんな冷や汗をかく日が来るなんて思ってなかった。
「まず、君達はどうしてあの場所にいたのかな?」
『あの場所・・・とは』
「シュタイン君と君達が会った場所はこのデスシティーからそんなに離れてなくてね。しかも何かから逃げていたんじゃないかなぁって」
そんなに近くまで来ていたのか。
だから追手の数もそこまで多くはなかったし逃げられたのか・・・。
「あの場所は生徒も校外授業で使う場所だし、何よりその周辺から魔女の波長を感じたからねぇ」
『追われてました。お察しの通り魔女から』
答えると〝やっぱりか〟と死神は呟いた。
『一つ、約束していただけませんか?』
「なーに?」
『聞かれた事には答えられる範囲で答えます。その結果、アタシ達を排除するという結論に至った場合・・・妹だけは見逃して貰えませんか?』
『お姉?!私だけって、そんなの!!』
『約束してもらえますか?』
ミオの言葉を遮り死神に問い掛ける。
死神は少し考えてから口を開いた
「そうねぇ・・・その場合、君は魂を喰われるかもしれないし実験体として好き放題されるかもしれない。それでもいいの?」
『構いません。妹さえ無事なら』
「そう。なら約束しましょ・・・死神の名に掛けて必ず守るよ」
ギュッと服を掴まれる。
受け入れたくないと態度で必死に伝えようとするミオ
大丈夫だから、と優しく微笑むと尚更悲しそうな顔をされてしまった。
「じゃあ・・・サンちゃんだっけ?」
『はい』
「君達は魔女とどういう関係?」
空気がピリつく。
煙草をふかすシュタインの鋭い眼光も此方を向く。
『アタシ達は魔女と人間・・・武器との間に生まれた混血児です』
「なるほど。ってことは父親か母親が魔女なのに何故あんな場所まで追われてきたワケ?」
『魔女だった母さんは、誰かに・・・殺されました』