第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
「で?ここにシュタインがいるんだな」
「さっさと魂取って補習終わらせようぜ」
暫く歩いて漸く研究所の扉前に辿り着いた。
ツギハギだらけの周囲を見回しながら話すソウルとブラックスター。
「一体シュタイン博士ってどんな奴なんだろ?」
マカがそう呟いた時。
聞き覚えのあるガラガラという音が耳に届いた。
「ん?何か来るぜ?」
ソウルが言うと同時に重い扉がギィーっと音を立てて開く。
そしてガラガラなる音はきっとシュタインの椅子の音だろう・・・。
「ぎゃふん」
いきなり現れたかと思えば扉の段差に躓きひっくり返るシュタイン。
起き上がって白衣を払ったかと思えば椅子に座りなおして一人ブツブツと話す。
「クソ!!まだ調子が悪いな・・・。う~んこんなもんかな・・・」
頭部の大きなネジを独特な音を立てながら回す。
途端立ち上がり踵を返す
「OK!もう一回やらせてくれ」
ガラガラとまたしても音が響き渡る中でひそひそとみんなで話始める。
「オイ誰か止めろよ・・・」
「だって初対面だし・・・」
「俺はちょっぴり気になる」
『(知り合いだと思われたくない)』
再度やり直して登場したシュタインはやっぱりズッコケた。
ふんぎゃ、と声を上げて。そりゃそうだろう段差はそのままなんだから。
『クスクス・・・博士面白いね?』
小声で伝えてくるミオに言い返そうかと思ったが何も聞かなかった事にして冷たい目でシュタインを見る。
「でっ・・・?何か用ですか?」
シュタインの言葉にハッとして全員気を引き締めたのか空気がピリつく。
「お前がシュタインだな?お前の魂食いに来た」
「あ~あ~はいはい、そうですか。君たち“死武専”の生徒さんですね?」
「あんたでしょ?!“死武専”生を襲ってるのは!!何かうらみでもあるの?!」
ソウルとマカに向き合うように座るとシュタインは煙草の煙を吐き出して不敵に笑うと楽しそうに語る。