第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
シーンとしたのも束の間
「な、・・・お、俺様がカッコイイのは当たり前だろ?なんてったって」
『“BIGな男”だもんね?』
ミオの表情はこちらから見えないがきっと花のように可憐な笑顔を見せているんだろう・・・。
なんでわかるかって?
そんなもん真っ赤な顔してるブラックスターを見れば誰でもわかるさ。
アタシはゆっくりミオに近づくと後ろからそっと腕を回して頭の上に顎を乗せて抱きしめる。
『ミーオ。もういいから』
「・・・かった・・・」
行こうと促そうとしたとき。
小さな声が耳に届いた。
声の主はどうやらブラックスターのようだ
『?』
また嫌味でもいうのかと一瞥するとしっかりとブラックスターの瞳はこちらを捉えていた。
「俺が・・・悪かった」
「ブラックスターが・・・」
「謝った・・・?!」
反省なんてしないだろうし、謝ってくるはずもないと踏んでいたのに。
謝罪の言葉は周りにも勿論聞こえていてマカ、ソウル、椿は唖然として言葉を漏らしていた。
「これでイイだろ?」
ふんっとそっぽを向くブラックスターを見て嫌々謝られてもなとも思ったがその表情からは先程までの自信に満ちた様子は感じられず若干眉尻も下がっていた。
彼なりに反省しているのだろうか・・・。
『お姉。許してあげてくれる?』
ね?と上目遣いで見つめてくるミオ。その顔はずるいだろぉ・・・。
『はいはい。ミオに免じてそれでいいよ』
アタシがそう言うと空気が一気に和やかなモノに変わった。
照れくさいのかブラックスターはこちらを見ることなく先に進もうと歩き出す。
その後をアタシ達も追う。
凄いね!と感心した様子でミオに話掛けるマカにそんなことないよなんて返事を返してる姿を見て姉として嬉しかった。
『でもね?』
『ん?』
『一番カッコイイのはお姉だから!』
ニコッと笑うその笑顔にやられない奴が居るか?否。居る筈がない。
辛い。妹が尊すぎて辛い。
あー、もうこの後の事なんて考えないでずっとその顔見て現実逃避したい・・・。
まぁ、そんな願望なんて叶うはずないんだけどね。