第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
少し離れたところでやり合うシド達。
何となくしか聞こえない会話の後、マカの表情と構えが変わったのが分かった。
「〔魂の共鳴!!!〕」
『へぇ・・・あれが魂の共鳴、か』
アタシ達が使う狂鳴連鎖と違う、人間の武器と職人が使う魂の共鳴。
明確な違いといえば狂気がそこに含まれるか否か。
昔、母さんにアタシ達のは魂の共鳴とは違うと言われた時具体的に何が
違うか分からなかったがこういう事だったのか・・・。
「鎌職人伝統の大技!!!魔女狩り!!!」
魔女。
その言葉にピクリとミオも反応する。
「いっ・・・や〜ん!!!」
直後、体制を崩したマカの手元から放たれた切先は周囲の墓石とアタシ達の足元を掠ってマカの手元へと戻って行った。
『もう少しズレてたら・・・』
『流石のアタシでも避けれんよ・・・』
苦笑いするしかないこちらの事なんてお構いなしに戦闘を再開する様子に今すぐ帰りたいと心の底から思った。
『お姉。大丈夫・・・じゃないよね?』
項垂れるアタシを心配そうにみるミオにこれ以上の心配をかけたくなくて、大丈夫だと強がってはみるが・・・痛みは引かない。
受け身はとったが蹴られた肋骨はピンポイントにヒビが入っているだろう。
『心配そうな顔しなくたってアレが終われば帰れ・・・』
「言え!!!コラ!!ああ?!誰がゾンビにしたんだよ!!」
『・・・お姉。多分、まだ帰れない・・・よ?』
ブラックスターがシドを捕らえたのを見て言いかけるとシドに詰め寄るソウルとマカ。
『・・・ゾンビ化させた犯人捜すんだっけ?』
『うん・・・』
やっぱり大丈夫じゃないね。なんてミオに言われて自分に呆れる。
あんなに綺麗に蹴られたのなんて初めてだから記憶も混濁してるんだろうか・・・なんて思って本日何度目か分からないため息をつく。
「シュタイン博士だ!!!」
『『え?』』
「この街のはずれにある研究所にいます・・・」
ミオと2人で顔を見合わせる。
『お、お姉・・・』
『落ち着け、ミオ。アタシ達はそう、見学だから・・・知らないふりしとこ・・・』
どうやらこの痛みとはもう少し仲良くしなければならないらしい。