第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
『ミオ。危ないから武器に・・・』
『う・・・うん』
いくら軽いとはいえど、ミオを抱えたまま避け続けるのは体力的にきつい。
ミオに促すと小さく頷いてその小さな体はアタシの手にチェーンソーとして収まった。
「・・・魔鋸か面白い。」
『見学って聞いてたから、あんまりやる気ないんだけど。見逃してくれたりはしないよ・・・ね!!』
ミオを大きく唸らせてシドに斬り掛かる。
「見逃す?言ったはずだ。全員ココで終わらせるってな!」
地面に張り付く様に避けたシドに足払いを掛けて転倒させ、その喉元にミオの切先を向ける。
『終わらせる・・・ねぇ。終わりそうなのそっちだけど?』
「・・・・ぐ・・・」
『ゾンビでも切ったら痛いかどうか確かめてみる?』
わざとらしく首を傾げて聞いた次の瞬間。
「てめぇ!!!俺様より目立つんじゃねぇ!!!!」
「ブラックスター?!!!」
腹部に激痛が走った。
〔お姉?!〕
それがあのブラックスターに思い切り蹴り飛ばされたという事に気づくのにそんなに時間は掛からなかった。
『い・・・った』
「新参者のくせに俺様のステージを邪魔するのが悪い!行くぞ椿!!」
「ちょっとブラックスター!!」
マカが怒っている様子もお構いなしにブラックスターはシドに攻撃を仕掛ける。
いや、油断したアタシが悪いとは言えマジで痛いんですけど?
『お姉!大丈夫?』
武器化を解いて心配そうにこちらを見つめるミオに苦笑いするしかない。
『ごめんね、ミオ。アタシやっぱりアイツ嫌いだわ』
視線の先にいるブラックスターの血走った目。
よくあんなのとパートナー組めるなと椿に感心する。
だってさ、一応アタシらだって味方なわけですよ?
それなのに蹴るかね?骨にヒビ行くほど。
『いっ・・・』
『お姉・・・。』
『大丈夫。帰ったら治すから』
よしよし、とミオの頭を撫でてやるが心配なのは変わらないようで不安そうな表情のまま。
ここで魔法を使うわけにはいかない。
せめて研究所に帰ればいるのはシュタインくらいだし何とかなるはず。
早く終わらないかなぁ・・・この訓練。