第1章 −嵐の夜に−
部屋に残った微かな誰かの魔力。
ジトっとした纏わりつく不快な感じと、今まで感じた事のない殺気。
母さんは確かな目的を持った誰かに殺された。
それは揺るがない事実・・・。
探さなくてはならない。
この犯人を。
生粋の魔女ではないアタシに母さんと同じレベルの魔法は使えないし、魔女の敵と言われる武器のミオを隠したままあの場所には居られない。
だからアタシ達は出る事にした、
あの家から。
名前も分からないヤツを倒す為に。
仮に魔婆様に言った所で信じてはもらえない。
現に今こうして追われて居るんだから。
『・・・っ!退けぇ!!!』
大きくチェーンソーを振り回す。
歯車の回る音が嵐に掻き消され道を塞いだ魔女の脇を掠める。
「いいのか?!このまま逃げれば魔女側はお前たちの敵になるぞ!」
『今だって敵、だろ?アタシ達は母さんを殺してなんかない!』
〔そうだよ!信じてくれないのはそっちじゃんか!〕
『悪いけど、少し寝ててくれよ・・・!』
相手の背後に周り首に手刀を下ろす。
ガクンと相手の身体が地に落ちていくのを横目に見てアタシ達は走り去った。
大振りの見た目に相反して重さは殆ど無い、チェーンソーのミオ。
先程の相手に対して思う所があるのか黙り込んだままだった。