第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
鉤爪墓地(フックセメタリー)
見るからに不気味で今にも生き物じゃない何かが出そうで、肝試しに向いていそうなこの場所。
〝SID〟と書かれた墓の前に着いたアタシ達。
退学という言葉がショックすぎるが故に落ち込むマカと荒れるソウル。
それとは対象的に気にした様子さえ見せないブラックスターと頭を抱える椿。
・・・・これで何を学べというのだろうか。
壊れた様に荒れたソウルとブラックスターから下品な言葉が聞こえたのでそっとミオの耳を塞ぐ。
「ごめんね?でも悪い子達じゃないのよ」
そう椿に言われアタシも苦笑いをするしかない。
『大変だな・・・』
そうアタシが呟いたときだった。
『お姉!!何か居る』
ミオが向いた方向には木に話掛けているマカ。
ボコッと普段では聞かない歪な音の直後、マカは得体の知れない何かに足を掴まれて宙に浮いていた。
アタシが動くよりも先に魔鎌になったソウルがマカの前に振り落ちる。
「ありがとう、助かった!」
魔鎌を手にしたマカの目付きが変わる。
これが、職人・・・というもの?
「マカ。ソウル。ブラックスター。椿。おはよう、こんにちは、こんばんは。お久しぶりDeath。俺は・・・挨拶は欠かさない男だった」
そう言いながら先ほどの墓を振り上げる男。きっとこの男がシド先生という人なんだろう。
「そして見知らぬそこの2人。俺はシド・パレット。よろしく・・・俺は自己紹介も欠かさない男だった」
こちらに向かって大声で叫ぶ男に呆気にとられたが、まぁ元よりそういうタチの奴なんだろう。
離れているからかあまり怖くないのかミオがペコっと頭を下げたのでアタシも何となくだが同じ様にして見ると、シドは満足そうにニッと笑った。
「KILLコーンカーンコーン♪さて、授業を始めるぞ。俺はチャイム通り授業を開始する男だった」
「いいだろう!!久々に見せてやる、俺様の神懸かった授業態度をな!!」
「こっちは退学が掛かってんだ!!受けてやるよ!てめェーの腐りかけで賞味期限切れの授業を!!!」
鎖鎌になった椿を手にしたブラックスターと魔鎌を手にしたマカ。
睨み合いの中どうやら〝授業〟とやらは始まるらしい。