第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
『そういえばさ、何でそんなに仲良くなってんの?』
研究所を出る前にシュタインに問い掛ける。
すると答えたのは目の前の男ではなく隣の妹だった。
『博士ねー、昨日寝れなくなってた私が寝るまで側にいて色々お話してくれたんだよ〜』
『・・・・・は??』
思わず聞き返すとニコニコと笑うミオとぎこちなく笑うシュタイン。
『夜中にトイレ行ったら怖くなっちゃって・・・そしたら博士が来てくれて、優しかったよ?』
「・・・ヘラヘラ」
『へぇー・・・。ミオが寝るまで、ねぇ』
「ホ、ホラ。早く行かないと訓練不合格になるぞ」
焦った様子のシュタインを怖いくらいの笑顔で見るアタシ。
『ねぇ、シュタイン〝博士〟。帰ったら・・・覚えとけよ?』
ミオに聞こえない程度の声量で告げるとシュタインはヒラヒラと手を振ってアタシ達を送りだした。
死武専に向けて歩きながらミオに問い掛ける。
『ミオ。アイツに何もされなかった?』
『ん?されてないよ〜。お話してくれて・・・あ!そういえば、頭撫でてくれたかなぁ』
アイツ、・・・殺す。
アタシの可愛い可愛いミオに!!!!!
『最初ね、お姉の所に行こうと思ったんだけど。博士が起こすと可哀想だからってね』
『?』
『部屋の前ウロウロしてたら博士が来て一緒に居てくれたの』
『起こしてくれて良かったのに』
『お姉も色々あって疲れてるでしょ?それに、博士はお姉が思ってるより優しいよ』
ニコッと笑う笑顔に釣られそうになる。
仮に、アイツが本当に優しかったとしても・・・ミオに触れていいなんてアタシは許可してない。
『笑ってよ〜、お姉。大丈夫!何かあったら言うから。ね?』
上目使いの潤んだ瞳・・・。
アタシは昔からこれに弱い。
『・・・分かった、分かったけど。あー、うん。一発殴るだけで許す事にする』
駄目だよ〜、なんてミオに宥められアタシは怒りを鎮めようと善処する。
今は訓練の事を考えて忘れよう。
そう自分に言い聞かせた。
『着いたよ〜。んーと、死神様の所だよね?』
左右対称の豪華な造り。
一昨日振りのこの場所・・・。
これからはここに通うのか、なんて思いながら死神様のdeath roomを目指す。