第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
「直接頼んだ方が早いかもしれないですよ」
素っ気なく言い放つとミオの前にカフェオレとアタシの前に珈琲を置く。
『何で?』
「いえ、ね・・・あの人女好きだし俺の事嫌いみたいで」
『どーせ、何かしたんでしょ。アンタが』
「バレました?」
あっさりと認める様子にその名前も知らない人を哀れに思った。
ミオは焦げてても全く気にしてない様子でトーストにかじり付く。
アタシも椅子に座り直すと昨日買われた調理器具や材料を思い返す・・・。
「俺が作ってもいいですが、サンが嫌そうなんで」
『いいよ、アタシが作る。』
あっさり快諾するとシュタインが目を見開いた
『何だよ?アンタが言ったんだろ』
『お姉の料理美味しいんだよ〜。博士もびっくりするかもね!』
居心地が悪くなって言うと唖然としたままのシュタイン。その様子にミオが明るく声を掛けるとやっと信用したのか楽しみですねぇなんて言ってる。
そんなにアタシが信用ないか?
昔から母さんはどちらかと言うと料理が下手な人でミオもそれに似たのか苦手。父さんが居た頃は父さんが作ってたって良く言ってたっけ。
手早く朝食を済ますと、後片付けに入る。
食器を洗っているとミオとシュタインが楽しそうに会話しているのが耳に入る。
あんなに仲良くなったのか?
元々ミオは人見知りが激しいタイプでいつもアタシの後ろに隠れているのに・・・。
まぁ、世話になってる訳だし会話もままならない状態よりはいいか。
「さて、今日の予定を確認しますが・・・」
洗い物を終えたアタシの方を見て少し真面目な顔をする。
「実技訓練、と言っても他に参加する死武専生が2組居ます。死神様が紹介してくれるでしょう。君達は基本は見学ですが、時と場合に応じて動いて下さい。」
『普通にしてればいいんだろ?』
「ええ。戦わず済む様ならそれで構いませんし、自分達に火の粉が降りかかるなら戦っても構いません。例え、知ってる奴だったとしても」
『ふーん。それならいいけど。』
「では、早速死神様の所へ行って下さい。道を覚える為にも2人で」
持ち物は言われてないから手ぶらでいいかと行く支度を整える。
と言っても簡単な身支度だけだが。