第5章 −実技訓練、波乱の幕開け−
朝。
清々しいまでに晴れた今日は夜のおどろおどろしさを少しばかり軽減している様で、昨日買ってもらった生活必需品のせいもあってか普通の朝を迎えられそうだ。
昨日買ってもらった服に着替え辛うじて料理が出来そうなキッチン?に顔を出すと相変わらず気怠そうなシュタインと目が合う。
「おはよう」
『・・・おはよう』
これから珈琲を煎れる所だったのか準備をしてる最中だった。
「似合いますね。そういう格好」
煙草に火を付け大きく息を吐き出したと思ったら唐突にそう言われた。
『動き易ければ何でもいいし』
黒のワイシャツに赤のレザーパンツ。
実技訓練があるなら汚れるかもしれないし、と白は着れなかった。
「女の子らしく、ミオみたいに可愛い格好するのもいいと思いますけどね」
ヘラヘラと笑うシュタインを横目で睨むと椅子に腰掛けた。
こういうのセクハラ・・・っていうんだっけ?
『ミオはそこにいるだけで可愛いんだ。格好なんでさして気にするもんじゃない』
「はいはい」
言い返すと深い溜息をつかれたがそれでコイツが静かになるならそれでいい。
『おはよ・・・う』
目を擦りながら起きて来たミオ。
うん、やっぱり今日も可愛い。
『おはよう、ミオ。ちゃんと寝れた?』
「朝ご飯作りますね〜」
アタシの問いに頷くと小さく欠伸を漏らす。
着替えはしっかり出来た様で、昨日買ったフリルの付いたミニドレスを着ていた。
昔から袖の長い服を好んでいて母さんが良く着せ替え人形にしていたなーと懐しくなる。
色は髪に合わせた桜色。髪を縛ってあげるのはアタシの毎朝の仕事だ。
髪留めはたまたま露天で売っていた死神模様の物。
ミオは可愛いと言って聞かないが、これは・・・・。
まぁ、ミオが良いって言うならそれで良いか。
「簡単な物しか俺は作れないんで、今夜からは当番制にしません?」
トーストと焦げた目玉焼きがテーブルに置かれる。
そういえば昨夜はシュタインがどこからか持って来た弁当だったな。
『アタシは昨日の弁当でも良いけど?』
「あー、あれはたまたま貰いましてね。」
『あれ、美味しかったよね〜』
ニコニコと笑うミオに同意するも誰かの手を煩わせたと言うのなら仕方ないかと諦める。