第1章 −嵐の夜に−
デスシティー郊外の研究所。
思っていたよりボロボロで今にもゾンビか何かが出そうだ。
とは言ってもゾンビは生きた死体くらいの認識しかないけど。
「部屋は空いている所をどーぞ。明日から死武専の事を教えるからそのつもりで居なさい。んじゃ、俺も寝ますんで後はお好きに」
入り口を開けるとシュタインはひらひらと手を振りながら部屋の奥へと姿を消して行った。
『仕方ない・・・。ミオ、寝れる部屋探そう』
『・・・う、・・・うん』
得体の知れない恐怖に怯えるミオと一緒にベットの置いてありそうな部屋を必死に探す。
『ひャッ・・・・!!!!』
一つの部屋に辿り着いて電気を付けたが、視界に入った血がびっしりと付いたベットと器具を見たときに自分でも情けない声が出た。
『お、おおおおおお姉っ!!!!』
『アイツ・・・明日一発殴るっ・・・』
項垂れながら明日も目標を口にして何とか震い立たす。
何度目かの衝撃現場を目撃した後、やっと比較的綺麗な部屋へと辿りつく。
しかしそこはシングルのベットが1つあるだけの簡易な部屋で2人寝るには少し厳しい。
『ふぁあ・・・』
やっと部屋を見付けた安堵からか欠伸を漏らすミオを見てこれ以上探索するのも気が引けてしまい、ミオをベットに促す事にした。
『お姉は?』
『隣の部屋で寝るよ・・・。明日起きてから部屋確認しよう?』
色々あって疲れたのかミオは心配そうな顔をしたのも束の間、静かな寝息を立てて意識を手放した様だった。
その姿を見てから恐る恐る隣の部屋へと進むと、ミオが眠っている部屋よりは汚いが比較的綺麗なベットが置かれていた為今日はここで眠る事にした。
嫌に煙草の匂いが鼻につく。
シュタインの研究所なんだから当たり前、か。
今後の事も考えないと・・・なんて思っていたのにいつの間にかひんやりとしたシーツに溶け込む様にアタシも眠りに付いた。
『・・・・ん?』
朝。ボーッと天井を眺めて見慣れないなーと思う
昨日と同じ・・・昨日?
『あっ・・・!!!』
ハッとして起き上がると窓のブラインド越しに薄ら陽の光が見える。
『あー、そっか・・・朝か』
当たり前の事を口にしてベットから立ち上がると隣の部屋を見に行く。
未だ眠っているミオを見て、起こさない様に部屋を出ると何処からか珈琲の香りがした